レモン
「いつも1人で飲んでるんですか?」

まだ緊張で顔を見る事が出来なかった。

「イヤ、あいつが居る時はつき合わせているよ。
今じゃあ俺の方が付き合ってる事になってしまったけどな。」

少し照れながら、でも嬉しそうに話してくれた。

「じゃあ今日は私が俊司君の代わりになりますよ!!」

あの照れ笑いの笑顔を見たら少し気持ちが落ち着いた。




「小柄ちゃんも大変だね、酒豪に捕まるとやっかいだろ?」

お父さんは笑いながら言っていた。

「おかげで強くなりました。まだ17なのに困ったもんですよ。

これじゃあ、のちのち男性に引かれそうですね・・・。」

「あいつにはそれくらいの女の方が良いんだよ。
いつも迷惑ばかりかけているだろう?すまんね。」

笑いながらも少し悲しそうな顔をしていた。




「いいえ、支えてもらてるんです。
私には俊司君が居ないと、全部ダメになっちゃうんですよ。」

思わず本音が零れてしまった・・・。




「そうか、あいつがそんな男になれるとは思ってもいなかったよ。
小柄ちゃんはあいつがなにしてるか知っているのかい?」



聞きたい事はすぐに分かった。





「・・・走り屋の事ですよね?」






少しためらいながらも言葉を返した。

お父さんの表情は変わらなかった。
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