レモン
2人の間にしばらく沈黙が続いた。
さっきの衝撃でまだバクバクしている心臓がまた早まる。
その恐怖と、俊司の突然の言葉への嬉しさと、
彼の気持ちに全然気づいていなかった自分への悔しさ、
そして彼を傷つけてしまった悲しさが、
いっきに込み上げ声を上げて大泣きした。
そんな私に驚いた彼は優しく包み込んでくれた。
まるで子供をなだめるお父さんのように、優しく・・・。
「・・・もしさっき死んでたら、こうやってやる事も出来ない。
小柄が泣く事も、俺がそれを守ることも。
生きてなかったら何も出来ないんだから・・・
寂しいこと言うなよな・・・・・・・。」
そう言って少し泣いている様だった。
2人の上に雨が降る。
涙を隠すように、しっとりと包み込むように。
俊司が泣くと雨が降る・・・・。
まるで心を開放するかの様に、彼は今まで見た事もないくらい泣いた。