レモン
「こんな所で何してんの?
雨も上がったし家に帰ろう・・・小柄。」
そこに居たのは俊司だった。
私の手を取り近くに停めてあったバイクの前に連れてきた。
俊司は・・・いつから居たのだろう。
健との事は聞いているんだろうか・・・。
色んな事が急に起きて頭がパンクしそうだ。
恐る恐る俊司の方を見ると、
彼は気持ちよさそうに朝日を浴びていた。
何も知らないのかもしれない・・・。
私は全部黙っておこうと思った。
いつもみたいに明るい声で俊司の事を呼んだ。
「今日は仕事ないの?」
私の声に気づいて寄って来てくれた。
「喜べ、3連休だ。どこ行こっか・・・。」
・・・・・おかしいよ、俊司。
何で目を合わしてくれないの・・・。
何かが壊れてしまいそうで言いたい事が言えなかった。
「じゃあ私も3連休にする。ずっと側に居たい。」
顔は笑ってるのに・・・ねぇ、俊司。
私の目を見てよ・・・。
「とりあえず帰ろっか。」
2人はバイクを押して、堤防沿いを歩いて帰った。
微妙な空気のままで・・・・・。