レモン

7月の朝は明るい。

小柄の部屋には大きな南窓があり、
ピンク色のブラインドがある。

そこから朝日が少し差し込んできている。

光が当たっている場所に、
俊司と撮った写真が何枚も飾られていた。


その中に先週撮った、相合傘をした写真がある。

梅雨も終わり、いつの間にか夏が始まろうとしている。



少し落ち着いた私は俊司に夢の事を話していた。


「そんなのただの夢だって何も気にする事ないよ。」


俊司は考えすぎだと言ったけれど、私には不安が残っていた。


「ねぇ、俊司。
明日、迎えに来て欲しい。」


俊司の返事は分かっていたけれど、
どうしてもと私は頼んだ。


「何で分からないんだよ。
ただの夢だから本気にするなって。
俺は行かない、明日待ってるから。」


そう言って電話は切れてしまった。




「何でもっと真剣に考えてくれないの・・・。」




もう通じていない電話を手に私は呟き泣いた。



その日はもう何もする気になれず1日家で過ごした。



何度か俊司からメールや電話があったけれど、
全部答える事はなかった・・・。
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