レモン

今にも閉まりそうな扉の間をすり抜け、私は地下鉄に乗った。



俊司の事をずっと考えていた。


さっきのメールをもう一度読み返そうと思い、
携帯を取り出し開くと待ち受けには俊司の笑った顔があり、
私はそれをずっと見てしまった。



気づいたら駅に着いていたので携帯を鞄に戻し、
急いで電車を降り改札を通って外に駆け出た。

夏の太陽が目に眩しい。

ちょうどバスが来ていたので私はまた走った。




バスに乗ろうと入り口に片足を載せた時、
あの夢の映像が頭を過ぎった・・・。



一瞬足が止まったがグッと唾を飲み込み、
バスの中に足を進めた。

(大丈夫・・・。大丈夫・・・。)

そう呪文のように何度も、何度も唱えながら・・・。
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