レモン
Lemon.....
家に戻った私は肩を落とし中へ入った。
リビングを覗くと母はまだ寝ている。
その後ろを静かに通り、階段を上り自分の部屋に入った。
部屋の中を見て、足が止まり体身が硬直した。
「遅ぇ~よ!!部屋で待ってろって行っただろ。」
ベットに座りこっちを見て、
俊司が笑顔で私に話しかけてきた・・・。
そこには探していた俊司の姿があり、
私は一気に力が抜けその場に座り込んでしまった。
俊司は近寄ってきて手を出したので、その手を取り立った。
「・・・でもバイクなんて見なかったよ。」
私は俊司に聞いてみたが、
「置いてきた。」としか言わなかった。
少し疑問をもったけれど、
俊司の目を見たらどうでも良いと思えた。
「時間が来るから映画行くぞ。」
そう言って俊司は私の背中を押して部屋を出た。
手を繋ぎ映画館まで歩いたが、
俊司の手はいつもより冷たく感じた・・・。