レモン
会場の電気がいっきに消され真っ暗になった。
スクリーンの幕が上がり宣伝が始まっても、
私は暗くてあまり見えない後ろの扉らを見ていた。
まだ戻らない俊司の事を心配し、
様子を見に行こうと思い席を立とうと腰を上げた時、
私の肩に誰かが手を乗せたので座ってしまった。
顔を上げるとそこには俊司が居て、
鞄を私に預けると席に座りもうスクリーンを見ていた。
私は俊司の顔をみたまま鞄を下に置くと、
「何俺の顔ばかり見てんだよ。」
と照れ笑いを浮かべながら前を見たまま俊司は言った。
私は恥ずかしくなりさっと前を向きなおすと、
もう映画は始まっていた。
それでもわたしは俊司の事ばかり気になって、
隣を見てばかりいたので、
その時見ていた映画の内容を覚えていない・・・。