レモン

映画が終わり私は俊司を連れて、
その会場から逃げるように出て行った。


彼は少し戸惑うような感じをみせていたが、
それでも黙って私について来てくれた。


「ねぇ、俊司!!プリクラ撮ろうよ。」


私は何かを確かめるようにプリクラの側まで歩いて行った。


「えっ・・・。」


俊司は少し嫌がっていたけれど、
私は強引に連れて行きお金を入れた。

彼は何か諦めたようについて来た。

嫌がっていたわりには楽しそうにしてくれたので、
私はその顔を見たら何だか安心できた。



そして落書きを終えて外に出て、
プリクラが出来るのを待っていた。



俊司は少し落ち着きがないように感じたけれど、
タバコを吸えなかったせいだと思い込み、
私は気にする事はなかった。



ゲームセンターの中を見回していた私は、
プリクラが出てきた事に気が付かなかったので、
俊司がそれを取り私の手を握り出口へ歩き出したのだった。

< 58 / 106 >

この作品をシェア

pagetop