レモン
映画が終わり私は俊司を連れて、
その会場から逃げるように出て行った。
彼は少し戸惑うような感じをみせていたが、
それでも黙って私について来てくれた。
「ねぇ、俊司!!プリクラ撮ろうよ。」
私は何かを確かめるようにプリクラの側まで歩いて行った。
「えっ・・・。」
俊司は少し嫌がっていたけれど、
私は強引に連れて行きお金を入れた。
彼は何か諦めたようについて来た。
嫌がっていたわりには楽しそうにしてくれたので、
私はその顔を見たら何だか安心できた。
そして落書きを終えて外に出て、
プリクラが出来るのを待っていた。
俊司は少し落ち着きがないように感じたけれど、
タバコを吸えなかったせいだと思い込み、
私は気にする事はなかった。
ゲームセンターの中を見回していた私は、
プリクラが出てきた事に気が付かなかったので、
俊司がそれを取り私の手を握り出口へ歩き出したのだった。