レモン
「ねぇ、さっきのプリクラ見せてよ。」
私は建物から出て行く途中に何回か言ったけれど、
俊司は一度も見せてくれなかった・・・。
繋いでいた手を離し、
諦めて彼の後ろを歩いていたら、
左手に何か違和感を感じた。
歩くのを止めて手を顔の側まで上げると、
薬指に綺麗なシルバーリングがあった。
小さな小さなダイヤの付いたその指輪を見て、
私はビックリして止まっていたら、
俊司が近寄ってきて私の手を取った。
「俊司・・・。」
あまりの嬉しさに声がでなかった。
「小柄が20歳になったら・・・結婚しよう。」
俊司の言っていた最初で最後のプレゼントだった。
私は彼の目を見たら、泣けてきてしまって、
「・・・うん。」
と、返事をしたけれど上手く声にならなかった・・・。