レモン

6月14日。


私はお風呂に行った俊司を待っていた。

彼の部屋に来るたびに気になっていた物があった・・・
私はその日それをそっと手に取った。

テレビで見たのと同じように持ってはみたものの、
まったくといって良いほど分からなかった。

諦めてそっと戻した。



その日はそんな事よりも聞きたい事があったのだ。

お風呂から上がって来た彼に唐突に声を掛けた。


「さっき彼女から電話があったよ。
間違えて出ちゃった・・・どうゆう事かなぁ??」


こうゆう場合は先制パンチだ!!

浮気の芽は早いうちに摘まないと、
本気にでもなられたらやっかいだから。

なんて強気でいけるのもここまで・・・。


「それより明日どうする?」


そう、彼は女には謝らない。

たとえ自分が悪いと分かっていても。
こんな事は初めてじゃないからもう気にしていない。



それに彼が一度も、
浮気をした事がなかったみたいだから・・・。
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