レモン
俊司の家の前に着いた時車が車庫に戻っていて、
家にも明かりが着いていたので、
私はみんな帰ったんだと思っっていた。
車庫に外灯はなく真っ暗だったけれど、
車の後ろに俊司のバイクらしい物が見えた。
いつもの場所に置いてない事に、
疑問をもった私はそれを確認しに行こうと向かった。
けれど俊司が先に玄関を開けてしまったので、
見るのを止めて急いで玄関へと向かった。
中に入るといつも聞こえる笑い声はなく、
家の中は静まり返っていた。
「ただいま~。」
と小さく言ったのにとても響いた・・・。
靴を脱ごうと手を足に持っていった時、
中から皆が出てきて駆け寄って来た。
その姿を見て私は肩に掛けていた鞄を落とした。
居間からは、何故か健も居てこっちを見ていた。
お父さんも、お母さんも、お姉さんも、
そして健でさえも皆、喪服を着ていたのだった・・・。