レモン
The truth.....
俊司の居なくなった家はとても静かだ。
誰も笑う人なんか居ない。
誰も話そうとする人も居ない。
ただ涙を流しうつむいている。
皆は玄関から居間に移動していた。
お姉さんは窓の近くに立ち、外を見ている。
お父さんは1番大きなソファーに、
体を小さくして下を向いて座っている。
私はそのちょうど前のソファーに、
右側を少し空けて座っている。
その空間はいつもなら俊司が座っている場所。
私の気持ちを察してか、
健はそこには座らず私の後ろに立っていた。
こんな時でもお母さんは台所で、
皆のお茶を用意していた。
それに気づいた健は手伝いに向かった。
冷たい空気・・・。
私は涙も出ないくらい、
何も考えられない状態になっていた・・・。