レモン
小柄は席を立ち居間から出て行った。
残された皆はどうしたら良いか分からず座ったままだったが、
健だけはすぐに小柄の後を追って出て行った。
2階に上がり俊司の部屋に向かった。
ドアが少し開いたままで、部屋から電気が漏れている。
健はそっとドアを開け覗くとそこには、
部屋の真ん中で泣き崩れる小柄の背中があった。
小さなその背中は小刻みに震え、
ときどき泣く声が聞こえてきた。
健は中に入ることも出来ずただ立ち尽くしていた。
しばらくそうしていたら、
いきなり小柄が俊司の名前を呼び出した。
「小柄さん・・・。」
声に反応しこっちを見た小柄は、
目に沢山の涙を浮かべ、
「ねぇ、健・・・。
俊司が死んじゃったよ・・・。
こんなの嘘だよね?」
そう健に返事を求めてきた。
健は何も言ってあげれない代わりに、
そっと優しく包み込んだ・・・。
小柄が泣き疲れて眠るまで、ずっと・・・。