レモン

俊司が亡くなったあの日、
泣きつかれて寝てしまった小柄の隣に健は居た。

小柄の寝顔を見て、
健は1人俊司に向かって話していた。


「俺にどうしろってゆうんですか・・・。」

「俊司さんの代わりなんて、
無理って言ったじゃないですか・・・。」

「何やってんだよ・・・。」


健は1人泣いていた。

小柄の前では泣いていけないと思って、
今のうちに泣いておこうと、
その夜おもいっきり泣いた。


小柄が目覚めたのは次の日の昼だった、
その時すでに家には笑い声が戻っていた。

小柄が気になり下に降りてきたのを見つけた。

健が家族の中心に居て、
みんな無理してじゃなく自然に笑っていた。

それでも小柄には元気が無く、
また俊司の部屋に戻ってしまった。


健は昼ご飯を手に部屋に向かった。


「入りますよ。」


足でドアを蹴り開け、中に入ってきた。


「これ、俺が作ったんですよ。
あんまり美味しくないって言われたけど食べて下さいね。」


無邪気に笑う健を見て小柄は切れた。


「何笑ってんの!!昨日だよ、俊司が死んだの!!」
そう言って健が持ってきたご飯を、


お盆ごと下に落とした・・・。

それでも嫌な顔1つせず、
落ちたご飯を片付けだした。


「じゃあ、いつになったら笑ってくれますか?
俺は、小柄さんに元気が戻るまで離れません。」


その時の健はとても頼もしく見えた・・・。

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