レモン
冬になり健がバイトを辞めた。
小柄を1人にするのには少し抵抗があったが、
それよりも早く安定する必要があったのだ。
家から通える距離の所に就職をした。
冬にも沢山出かけた。
スノボーや北海道の雪祭り、
クリスマスに年末年始・・・。
小柄は毎日が充実していた。
俊司の事を思い出す日も減り、
泣く事も滅多になくなった。
健はそれを良くなったと思っていたが、
本当は悪いほうへ進んでいたのだった。
今までは俊司の事を泣きながらでも、
健に話していたのだが、
小柄は溜め込むようになっていたのだ。
それは健に気を使っての事だったし、
なにより健の事を思っての事だった。
小柄は健が好きだった、
だからいつまでもこのままじゃ健が辛いと思ったのだ。
でも、それも健は分かっていた。
だから小柄に、
「好きだと思ってくれるなら、
俊司さんの事ははなしてくれ。」
そう言ったのだった。
健は全部自分が背負い込む覚悟だったから。
それを聞いた日から、
小柄はまた泣きだしたのだった・・・。