レモン

冬になり健がバイトを辞めた。

小柄を1人にするのには少し抵抗があったが、
それよりも早く安定する必要があったのだ。

家から通える距離の所に就職をした。


冬にも沢山出かけた。

スノボーや北海道の雪祭り、
クリスマスに年末年始・・・。

小柄は毎日が充実していた。


俊司の事を思い出す日も減り、
泣く事も滅多になくなった。

健はそれを良くなったと思っていたが、
本当は悪いほうへ進んでいたのだった。


今までは俊司の事を泣きながらでも、
健に話していたのだが、
小柄は溜め込むようになっていたのだ。


それは健に気を使っての事だったし、
なにより健の事を思っての事だった。

小柄は健が好きだった、
だからいつまでもこのままじゃ健が辛いと思ったのだ。


でも、それも健は分かっていた。

だから小柄に、


「好きだと思ってくれるなら、
俊司さんの事ははなしてくれ。」


そう言ったのだった。

健は全部自分が背負い込む覚悟だったから。


それを聞いた日から、
小柄はまた泣きだしたのだった・・・。

< 82 / 106 >

この作品をシェア

pagetop