レモン
熱がどんどん上がり、
苦しむ健の事を小柄はずっと見ていた。
健の手を握り、
1日側を離れなかった。
そして健の為に泣いた。
「・・・ごめんね。」
そう言って泣いた。
小柄はすっと手を離し、
部屋をフラっと出て行ってしまった。
寝ていた健がそれに気づき、
心配になり体を起こして後をつけた。
健の体からは汗がおかしいくらい出ていた。
足元もふらつき、
頭もくらくらしていたが、
それでも健は小柄を追った。
健の視界はしだいにぼやついてきたが、
小柄の姿だけは見失わなかった。
外に出て道をまっすぐ歩いて行く。
こんな夜中に何処行くんだ・・・。
健は不思議に思ったが、
いつものように頭が働かなかった。
小柄は・・・
線路に向かっていた・・・。