レモン

遊ぶのに夢中になってたら、
もう日が沈んでて月が輝いてたね。

真っ暗な海に輝く月明かりは、
健に初めて告白された日を思い出したよ。


私達はずっと前からこなる運命だったのかもね。


私の隣に座ってた健は少し元気がなかった。

理由はわかってた。

私は俊司の指輪を外せずに居た。

健を不安にさせている事に気づいてて、
ずっとしたままだった。


その日の健はやっぱり少し変で、
私を抱きしめながら、
静かに泣いてた・・・。

その時思ったんだ、
私もそろそろ正面から向き合おうって。


その日から、健を観察した。

健の瞳が茶色いこととか、
髪の毛が柔らかくて気持ち良いとか、
俊司より体がしっかりしてる事とか・・・。

足のサイズがバカみたいに大きくて、
ショップのお姉さんを困らせてるとか。

そのわりには食べる量が人並みだったり・・・。

こんなにいつも一緒に居たのに、
私は健の事ちっとも見てなかった。
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