藍色レインデイ
「……うん、そうだね。
何だか茜といると雨が好きになれそうな気がするよ。」
泣いてることに対して何も言われなかったのは嬉しい。人の前で泣くなんてあり得ない、っていうのが私の持論だから。
でも全くスルーでそんなことを言われても困る。
え―っと、こんな時はどうすればいいんだっけ。
この人の行動はすべてにおいて、どう対処していいのかまったく分からないわ。
「…それって誉めてるの、貶してるの?」
違う。ここはとりあえず笑顔でありがとうっていうところだ。って今気が付いても言ってしまった言葉は戻ることはない。
私がこんな気が利かない人間だったなんて知らなかったわ。
「あははっ!!大丈夫。誉めてるよ。
みんなこんなこと言うと同情しかしないからね。きっとそれで、ああ自分は雨が嫌いなんだって確認してたんだ。
だけど、これからはもうそんなことしないから。
……だからさ、泣かないで?」
ここで触れてきたか。
ビックリして涙も引っ込んじゃったわよ。
さっき迄はどんなに止めようとしても、止まんなかったのに。
いきなりそんな優しい声を出すなんて、反則レッドカードで一発退場ものだわ。
頬に流れでた一粒の雫を袖で拭い、これでどう?と彼に笑いかけた。