すきだよ。
「電話の相手の名前は、この学校の2年5組、渡辺道久(ミチヒサ)。」
ああ、成る程。だからみっちー。
「僕とみっちーは、同じ小、中学で、いわゆる幼なじみってやつ。」
先輩は説明しながらヴァイオリンのケースを撫でた。
「成績は僕の方が余裕で上なんだけど、何を思ったか最終テストを控えた中3の冬、みっちーがある賭けを持ち出したんだ。
それは、最終テストで負けた方が勝ったほうの言うことを何でもきく。普通でしょ?」
私は頷いた。
それなら私も友達とよくやった。
「みっちーも頭はいいほうなんだけど、首席の僕に勝ったことはなかった。だから僕はハンデとして、何も勉強しないでテストを受けたんだ。」
この流れだと。
「僕は負けて2位だった。正直驚いたよ。」
やっぱり。
「僕はみっちーのいうことをきくはめになったんだけど、それが最悪だったんだ。」