すきだよ。
「でもっ、いつも一緒に女の子がいるじゃない!」
それって、私の事?
そこで蘭先輩は津久井先輩に笑いかけた。
私には一度も見せたことのない、優しい笑顔で。
「大丈夫、あの子は妹みたいな子だし。」
その一言で、私の胸に黒い染みができた。
もやもやする。
「それに、」
蘭先輩が優しく、優しく、ガラス細工を扱うように津久井先輩をだきしめる。
やめて、見たくない。
それなのに、私は二人から目が離せない。
急に、気付いてしまった。
蘭先輩がいつも弾く、作りかけの優しい曲は、津久井先輩のための歌なんだって。