すきだよ。


先輩はそんな私を見て笑いながら、小声で歌を口ずさみ、カバンの中から譜面と鉛筆を取り出した。


それを扱う指先と視線の優しさでわかってしまった。



津久井先輩のための曲なんだと。


どうして今まで気付かなかったのだろう。

そう感じるほどに、蘭先輩は愛しそうに譜面を扱うのに。


「大事な曲なんですか?」


あーあ。
自滅。


なんで私は自分から傷つくようなことを聞くんだろう。


私実はMとか?


あんまり笑えないな。






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