ミュージック･ラブ３〜愛を奏でるメイフラワー〜

『はぁ…はぁ…』

院長はスーツのジャケットを手に持ち、銀色のアタッシュケースを片手にしんどそうだった。

『ど、どうしたんだよ？』

蓮は驚きながら尋ねた。

『お前が…お前が倒れたって病院に連絡が入って…それで、駆け付けてきたんだよ…はぁ、はぁ』

院長は息を切らしながら言った。

『俺が倒れたって？…一体誰がそんな事を…あっ!!まさか敬大の奴…』

蓮は感づいた。

『蓮…お前、大丈夫なのか？何ともないのか？』

院長は心配そうに尋ねた。

『うん…大丈夫です』

『そっかぁ…良かった…』

院長は一安心をついた。

一安心ついている院長を蓮はしばらく見つめていたが、そっと口を開いた。

『ふっ…アンタは昔からいつもそうでしたよね。俺に何かあったら周りを気にせずにすっとんで来た。ここから病院まで２キロも離れてるのに…アンタがわざわざ来るよりも救急車で病院に向かった方が早いのに、ひたすら走ってくるなんて…』

蓮は少し呆れながら言った。