ミュージック･ラブ３〜愛を奏でるメイフラワー〜

『これで応急処置にはなるだろう』

敬大は枝を添え木にし、踏まれたチューリップを応急処置した。

『お前も踏まれるために生まれた訳じゃないのにな…』

敬大はチューリップを淋しげにじっと見つめて呟いた。

そして敬大はまたベンチに座った。

『隣良い？』

突然女性が敬大に声をかけてきた。

『ああ…』

敬大がそう言ってふと隣に座った女性を見ると、髪の長い澄んだ大きな瞳の綺麗な女性だった。

『君名前は？』

女性は敬大に尋ねた。

『敬大…瑞輝 敬大…』

『敬大君か…』

『あんたは誰だよ？』

敬大は女性に尋ねた。

『えっ!？あたしの事知らない？雑誌とかで見たことない？』

女性は少し驚いた様子だった。

『知らない…』

『そっか…知らないか。あたしは橘 祥乃。一応モデルやってるんだけどね』

祥乃は笑顔で言った。

『そう…』

敬大は冷めた感じで言った。