ミュージック・ラブ3〜愛を奏でるメイフラワー〜
『あ、すみません…』

誠治は進行係に軽く頭を下げ謝った。

そんな誠治を見た客席からまた笑いが起こった。

誠治は恥ずかしそうにステージを降りた。

『誠治さん』

敬大はステージを降りて来た誠治に声をかけた。

『おっ、敬大。次お前の番か!?頑張れよ』

誠治はタオルで汗を吹きながら言った。

『すごい演奏でした。本当にすごかったです』

『ホンマに?おおきにー。でも緊張しまくってたんやけどな』

誠治は笑顔で言った。

『緊張?あ、あれでですか?全然そんな風には…』

敬大は笑って言った。

『なあ、敬大…』

そう言って誠治はステージの方を振り返り、さっきまで立っていたステージを見つめた。

『誠治さん、なんですか?』

『ステージ上には光が溢れてるで。自分だけを照らしてくれる夢の光が…。敬大、お前も早く光を浴びてこい』

誠治はそう言って敬大の背中を押し、敬大の前から立ち去った。


< 173 / 354 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop