ミュージック･ラブ３〜愛を奏でるメイフラワー〜

倒れている女性も敬大の顔を見て、驚きを隠せなかった。

『おいっ、敬大!!何モタモタしてるんだ!!早く逃げるぞ!!』

立ち止まっている敬大を、蓮が大声で呼んだ。

その蓮の言葉に敬大はハッとした。

『ああ』

敬大は倒れている女性を背に、急いで走り去りパーティー会場を出て行った。

『楓…大丈夫？』

そう言って倒れている女性…楓を、楓の友達が駆け寄り起こした。

『ありがとう咲季（ｻｷ）』

楓は咲季にお礼を言った。

『敬大…まさかこんなとこで会えるなんて…』

楓は胸の高鳴りを抑え、独りそっと呟いた。

敬大たちは１キロほど走り、桜がたなびく橋の上までやってきた。

『ハァ、ハァ…ここまで来たらもう大丈夫だろう…』

友也は両手を膝の上につき、息を切らしながら言った。

『ああ…。っていうか、何で大学生の俺まで逃げてんだよ…』

蓮も息を切らし、しんどそうに言った。