ミュージック・ラブ3〜愛を奏でるメイフラワー〜
『俺…高3の時に傷害事件を起こして、それで少年院に入ってたんです。少年院から出た後、家に帰ったらそこに待ってたのは孤独と暗闇だけでした。帰りを待っててくれてると信じてた母親の姿はどこにもなくて…俺を残してどっかいっちゃったんです』

敬大は元気なくあの日の事を話した。

誠治は敬大の話を真剣に黙って聞いていた。

『そしたら今朝早くに清凜総合病院の看護士さんがアパートに尋ねてきて、母親の状態を告げられ会ってあげて下さいって言われたんです。大阪まで来たのは良いけど、やっぱ今更会う気にはなれなくて…』

敬大のその話を聞いた誠治が口を開いた。

『敬大を見捨てたオカンの事、今でも恨んでるんか?』

『はい…』

敬大は静かに頷いた。

『そっかー…。よし敬大ちょっと後ろ乗りや』

誠治はそう言って、近くに止めてあった放置自転車に勝手に乗った。

『誠治さん!?』

敬大は誠治の行動を疑問に思った。


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