ミュージック･ラブ３〜愛を奏でるメイフラワー〜

『なに、ボサーッとしてんねん。早く後ろに乗りや、置いてくでー』

誠治はそう言って、敬大を急かした。

敬大は訳のわからないまま自転車の荷台に乗り、誠治は自転車を走らせた。

『誠治さん…どこ行くんですか？』

敬大は一生懸命に自転車をこぐ誠治に尋ねた。

『秘密や』

そう言って誠治は、鼻歌を歌いながら自転車をこぎつづけた。

しばらく誠治が自転車をこぐと、一軒の建物が見えて来た。

誠治はその建物の前で自転車を止め、誠治と敬大は自転車から下りた。

『よし、中入ろ』

誠治は敬大の手を掴み、建物の中へ引き入れた。

『おっ、誠治やん。久しぶりやな』

建物の中にいた管理人らしき人物が誠治に気付き声をかけた。

『おっちゃん、スタジオ使わせてもうてええか？』

誠治は管理人らしき人物に尋ねた。

『今日はもう予約入ってへんから、使ってもええよ』

管理人はそう言ってスタジオのカギを誠治に渡した。