ミュージック・ラブ3〜愛を奏でるメイフラワー〜
『おっちゃんすまんな。悪いけど朝まで貸しといてや』

誠治は管理人に頼みこんだ。

『朝までか…別に構わへんけど、えらい熱心に練習する気なんやな』

管理人は驚きながら言った。

『そやで、何てたって敬にとって今が1番大切な時間やからな』

誠治はそう言って、外へと足を運んだ。

『誠治!?どこ行くんや?』

管理人は誠治に呼びかけた。

『ちょっとコンビニ行ってくるわ』

そう言って、誠治は背をむけたまま管理人に手を振りコンビニに向かった。

この夜敬大は一人きりのスタジオで、一晩中母親の事について考えていた。

母の優しさ…

母の愛…

母との思い出…

母が敬大を捨てた事…

母への恨み…

その全てが交錯した中で敬大は一つの答えを出そうと、決断しようと葛藤しもがいていた。

そして長い夜が終わり、朝がやってきた。


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