ミュージック･ラブ３〜愛を奏でるメイフラワー〜

受付で母親の病室を聞いた敬大は、ゆっくりと母親のいる病室に向かった。

『ここか…』

敬大は病室の扉の横に書かれている患者名を確認し、静かに病室の扉を開いた。

扉を開けたその先には、敬大の母親の姿があった。

５年ぶりに見る母の姿は、５年前に見た元気で明るい母の姿ではなく、白髪混じりで弱り切った母の姿があったが、紛れも無い敬大の母の姿であった。

敬大はそんな弱り切った母の姿を目の当たりにし、一度は目を背けたが、眠る母の姿をその目でじっと見つめた。

母の左手にはクシャクシャに握られた子供の頃の敬大の写真があった。

まるでお守りのようにそれは握られていた。

敬大は眠る母の傍にあるイスに座った。

『こんなに…こんなに白髪が増えて…シワもこんなに…』

敬大は母親を見つめていた。

すると眠っていた敬大の母親の目がゆっくりと開いた。