ミュージック･ラブ３〜愛を奏でるメイフラワー〜
『母さん…』

敬大は目を開けた母を呼んだ。

『…け、敬大？』

母親は敬大に気付いた。

『お前…来てくれたのか？』

母親は５年ぶりの敬大の姿を見て、懐かしさ嬉しさで目から涙が溢れ出した。

『別に会いに来た訳じゃないよ。ただ一言母さんに文句が言いたくて…』

『文句って…そうだよね。私は敬大を捨てたんだからね、ごめんね敬大』

母親は弱々しいか細い涙声で謝った。

そんな泣いている母親の姿を見た敬大は、自分の指で母親の涙を拭った。

『ああ、俺が今日ここに来たのは“ありがとう”って文句を言いに来たんだよ』

敬大のその言葉に母親驚いた。

『母さん、俺を…俺を生んでくれてありがとう』

敬大は少し照れながら母に告げた。

敬大の母親はまた涙が溢れ出し、枕を濡らした。

敬大はそんな泣き濡れる母親の手をギュッと握りしめた。


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