ミュージック・ラブ3〜愛を奏でるメイフラワー〜
『ただ…何ですか?』

敬大は不思議そうな顔をした。

院長は包帯でグルグルを巻いた敬大の左手を優しく手に取った。

『ナイフで突き刺されたこの手…たとえ傷が治っても神経への損傷が激しくて指がもう前みたいに自由には動かない…』

院長は重苦しい雰囲気で言った。

『えっ…』

敬大は驚きを隠せなかった。

『ゆ、指が動かないって…』

敬大は突然の院長の言葉を、すぐには理解できずにこんがらがっていた。

『すみません院長先生…一人に…一人にしてもらえますか?』

敬大は静かにそっと言った。

院長は頷き、病室を出て行った。

院長が出て行った後敬大は動かない左手をじっと見た。

そして敬大は右手で強引に左手の指を掴んで動かした。

そして今度は痛みを堪えながら左手に力を入れ、指を動かそうとしたが指は動かなかった。

『本当に動かない…』

敬大は信じられない様子だった。


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