ミュージック・ラブ3〜愛を奏でるメイフラワー〜
『指が動かないって事は…ギターが弾けない…』

敬大の頭の中は真っ白になった。

敬大はボッーとしながらただじっと左手を見つめた。

すると、レミが病室に戻って来た。

『敬大?』

レミは黙って左手を見つめる敬大を心配した。

『なあレミ…俺さ…俺の左手の指…動かないんだって…』

敬大の声は震えていた。

『もうギター…弾けないんだな俺…せっかく掴んだ夢だったのに…』

敬大は唇を噛み締め、悔しがりながら右手で左手を強くにぎりしめた。

『敬大…』

レミはたまらない思いで胸が張り裂けそうだった。

『せっかく…せっかく掴んだ…やっと…やっと掴んだ夢だったのに…』

『ゆ、夢を失っても敬大は無事だったんだから…だから…』

レミは悔しがる敬大を見て涙が零れた。

『レミ…一人にしてくれ…』

『えっ?』

『一人にしてくれって言ってるだろ!!』

敬大は悔しさのあまり怒鳴り、右手で机に置かれていたコップをはらいのけた。


< 242 / 354 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop