ミュージック･ラブ３〜愛を奏でるメイフラワー〜

『…はい』

敬大は小さな声で返事した。

『声が小さいよ。瑞輝敬大くん』

楓はまた敬大を呼んだ。

『はい!!』

敬大は仕方なく大きな声で返事した。

『よし、良い返事だね。エライエライ』

楓は笑顔で敬大を褒めた。

『ってか、何で先生のまね事してんだよ？』

『１度先生の気分を味わって見たかったんだ』

楓は笑ってそう言いながら、敬大に歩み寄った。

そして楓は敬大の隣の席に腰を下ろした。

『ねぇ、敬大覚えてる？あたし心臓が弱くて体育の授業をいっつも一人で見学してた時さ、元気に走り回っているみんながすごく羨ましかったんだ。何か自分だけが取り残されてる気がして、あたし凄く寂しかったんだ。でもそんな時に限って、敬大はあたしの事を気にかけてくれて、見学してるあたしの側までやってきて話しかけてくれたよね。あの時は凄く嬉しかったんだよ』

楓はあの日の事を懐かしそうに話した。