ミュージック･ラブ３〜愛を奏でるメイフラワー〜

『敬大、シュート打ってよ』

楓は敬大にお願いした。

『シュートか…』

敬大はバスケットゴールを見つめた。

『試合は４１対４３…残り時間は後１０秒…ここで瑞輝敬大選手がスリーポイントを決めれば逆転勝利…』

楓は突然実況をし始めた。

『スリーポイント…』

敬大は目を閉じ、試合の風景を頭の中にイメージした。

そして目を開けたと同時にゴール目掛けてシュートを放った。

敬大の放ったシュートはバスケットリングの上をくるくる回って、そしてゴールの中に吸い込まれるように入った。

ゴールに入り床に落ちたバスケットボールが弾み体育館中にバウンドの音が響いた。

『入った…』

敬大は軽く笑みを浮かべた。

『敬大の高校時代は…あの辛い事件だけじゃないんだよ。こんな風にバスケやってたり、相変わらずギター弾いてたりって楽しかったことのがずっとずっと多かったんだから』

楓はそう言って笑いかけた。