ミュージック・ラブ3〜愛を奏でるメイフラワー〜
『なんだろ…こんなオモチャの安っぽい指輪なのに…お前の思いが詰まっててそれが輝いてるせいで、どんな宝石よりも眩しい指輪だな…』

蓮はそう言った後、しばらく指輪を見つめたまま黙り込んだ。

『俺さ…さっき楓にフラれちゃったよ。今更だけどやっぱ蓮君とは結婚出来ないって言われた。楓の心にいるのは俺なんかじゃなくて、敬大なんだろうな…きっと。これ…引き出しに入れておくから、早く目を覚まして、この指輪自分で渡せよ、敬大』

蓮は少し寂しそうに言って、オモチャの指輪を棚の引き出しに閉まった。

『俺は敬大には勝てなかったよ、ハッハハハ』

蓮はそう言って寂しげに無理して笑った。

『レイさん』

花瓶を抱えながら楓は、病院の廊下で桐丘レイに声をかけた。

『楓ちゃん、敬大君のお見舞い?』

桐丘レイは楓に気付いた。

『レイさん…これ返します』

楓はそう言って、レイから貰ったネックレスを手渡した。


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