ミュージック・ラブ3〜愛を奏でるメイフラワー〜
『えっ、でもこれは楓ちゃんに…』

桐丘レイはネックレスを受け取り、戸惑いながら言った。

『あたしにはもう必要ないんです…ごめんなさい』

楓は申し訳なさそうに言った。

その楓の言葉で、桐丘レイは全てを悟った。

『わかったわ、確かに受け取ったわ』

桐丘レイはそう言って、優しく楓に微笑みかけた。

楓は桐丘レイに頭を下げ、花瓶を抱えて立ち去った。

敬大の病室を出た蓮は、一人病院の屋上で周りの遠い景色を呆然と眺めながら、タバコをふかしていた。

『俺もバカだよな…。好きな人の事、あっさりと諦めちゃってさ…』

蓮は一人寂しそうに呟いた。

『こんなとこで喫煙?普段タバコなんて吸わない癖に、ぐれちゃったの?』

屋上にやってきた桐丘レイは、そう言いながら蓮に歩みよった。

『何だよ、レイか…。タバコくらい俺だって吸うさ。二十歳超えてるんだからさ』

蓮はタバコをふかしながら言った。


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