ミュージック・ラブ3〜愛を奏でるメイフラワー〜
『今日も良い天気だね』

桐丘レイは蓮の隣に歩み寄った。

『なあ…レイ。俺さ…楓にフラれちまった…』

蓮は無理矢理笑顔を見せて言った。

そしてすぐにその笑顔はなくなり、下の景色を見つめた。

『俺ってダメな男だなぁー。好きな女の心を結局最後まで振り向かせられなくて…眠ったままの男に勝てないなんてな…情けなくて笑えるよな』

蓮は寂しげな表情を見せ、楓から返された婚約指輪を握りしめた。

『蓮…』

桐丘レイはそんな蓮の表情をじっと見つめた。

『でも何だろうな…敬大に負けて悔しいハズなのに…楓が…敬大が…二人が幸せになれるならって思うと不思議とこれで良いのかなって思えるんだよな。つーか、あの二人は本当に恋に不器用すぎなんだよな…』

その蓮の言葉を聞いた桐丘レイは、優しく蓮の背中を叩いた。

『人の幸せ願えるなんて…蓮は今幸せなんだね』

『はあ?俺が幸せ?幸せなんかじゃ…』

蓮は戸惑いながら言った。

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