ミュージック・ラブ3〜愛を奏でるメイフラワー〜
そして、何も会話がないまま二人は家に向かって歩いた。

『きゃあ!!』

突然、楓が悲鳴をあげて転んだ。

『突然どうしたんだよ?』

敬大は転んでいる楓に尋ねた。

『ヒールが折れちゃった…』

楓は折れたヒールを手に取った。

『…ったく、ほら』

敬大は楓に背を向けしゃがみ込んだ。

『えっ?』

『えっ?じゃないよ。乗れよ』

『で、でも…』

楓は戸惑った。

『早く!!裸足で帰る気かよ』

『うん…』

『よいっしょ』

敬大は楓をおんぶし、立ち上がって歩き出した。

楓は少し恥ずかしそうだった。

『何かこうやって敬大におんぶされるなんて、小さい頃以来だね…』

楓は敬大の背中のぬくもりに懐かしさを感じていた。

『そうだな…』

敬大は素っ気なく言った。

『あたし心臓が弱いから、敬大にはいつもお世話して貰ってたね』

楓は小さい頃の事を振り返った。

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