ミュージック・ラブ3〜愛を奏でるメイフラワー〜
『たっくん、今晩はカレーだけど良い?』

カップルの女性の方が楽しげに話した。

『いいよ。そのかわり…』

男性の方が答えようとしたら、女性が口を挟んだ。

『そのかわり人参は入れないでね…でしょ?わかってるよ』

『よく俺の言おうとした事わかったな』

男性は驚いた表情を見せた。

『わかるよ。だって、あたしたち幼なじみじゃん』

女性は笑って言った。

『ふふ、そうだな。幼なじみだもんな』

男性も笑って言った。

そして二人のカップルは二人でひとつのスーパーの袋を持ち、そんな会話を楽しげに交わしながら楓の横を通り過ぎて行った。

楓はふと立ち止まって、横を通り過ぎた二人のカップルの背中をしばらく見つめた。

『あの二人…幼なじみなんだ。幼なじみか…』

楓は淋しそうな表情を見せ、そしてまたゆっくりと橋の上を歩き出した。


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