ミュージック・ラブ3〜愛を奏でるメイフラワー〜
『楓ー!!』

楓が歩き出した瞬間、背後から名前を呼ぶ声がした。

楓が振り返ると橋の向こう側に、息を切らす敬大がいた。

『敬大…』

楓は突然現れた敬大に驚いた。

敬大は楓の元に駆け寄った。

『敬大…。あっ、今…今敬大あたしの事楓って、楓さんじゃなくて楓って…』

楓は驚いた表情を見せたまま呟いた。

『ハァ、ハァ…あー、久しぶりに走ったし、しんどいなぁー』

敬大は楓の元にたどり着き、両膝に手をつき息を切らした。

『敬大…今あたしの事楓って…もしかして記憶が…』

『はあ?楓は楓だろ?何驚いた表情してんだよ?』

敬大がそう言うと、楓はスーパーの袋を地面に落とし、敬大に勢いよく抱き着いた。

『なっ?楓?なんだよ、いきなり…』

敬大は楓に抱き着かれ、戸惑いを見せた。

『だって…だって…敬大の記憶が戻って嬉しいんだもん』

敬大に抱き着く楓の目からは、涙が溢れ出していた。


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