ミュージック・ラブ3〜愛を奏でるメイフラワー〜
『敬大が記憶失くしちゃってから、目の前に敬大はいても、あたしの知ってる敬大はどこか遠くに行っちゃったみたいで…ずっとずっと寂しかったんだから…』

楓は大声で叫びながら、敬大の胸で涙を流した。

すると敬大は、下におろしていた自分の両腕を楓の背中に回し、ギュッと楓を抱きしめた。

『ごめん、楓。でも、もう大丈夫だから…俺はもうどこにも行かないから…』

『敬大…』

敬大と楓の二人は顔を見合わせた。

『聞いて楓。俺やっと気付いたんだ。俺にとって1番必要なのは…1番大切なのは…月姫楓だって。この答えが出るまで時間もかかったし、遠回りもした。けど、ようやく見つけた答えだから今すぐ伝えたくて…だから走って来た』

敬大はそう言いながら抱きしめている手をおろし、ポケットから一輪の白い鈴のような花を取り出した。

『これが…俺の気持ち…』

敬大は一輪の花を楓に手渡した。


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