ミュージック・ラブ3〜愛を奏でるメイフラワー〜
『それで敬大は母親が見ていない所で血だらけの包丁を握り、自分の指紋をつけていつものように学校に向かったんだ。そして、携帯から警察に電話をかけて“父親を刺しました”って自首したんだってさ』

蓮のその話に楓は衝撃を受けていた。

『あの日学校に突然警察がやってきたのは、敬大が自首したからで…それも自分の母親をかばってたなんて…』

楓は唇を噛み締めた。

『敬大がその話をしてくれた時、アイツって本当にバカだなって思ったよ。まあ、母親思いの良い奴なんだけどさ…』

『あの敬大の事件にはそんな真実があったんだね…』

『でも、敬大が少年院を出て家に戻った時…母親は既にどこかへ引っ越していたんだって。自分の息子が少年院に入った事によって世間体を気にしたのか…自分の帰りを待っててくれてると思ってた母親の姿はなくて、敬大はかばった母親に見捨てられたんだ』

蓮は楓に全てを話した。

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