ミュージック･ラブ３〜愛を奏でるメイフラワー〜
『でも今日子供たちが笑ってくれて思ったんだ。自分の夢のためじゃなくて、誰かのためにギターを弾いて歌うのも良いもんだなって…』

敬大はそう言って、自分の左手をじっと見つめた。

そして敬大は楓の方を振り返った。

『ミュージシャンになって大きなステージに立つ夢は叶えられなくても、俺…俺もう一度だけギターをやるよ。そして施設の子供たちみたいに、沢山の人の心を一人でも多く救いたい』

敬大は決心を固めた。

『うん、敬大ならきっと誰よりも幸せを奏でるミュージシャンになれるよ』

そう言って楓は優しく微笑んだ。

そんな話をしている内に二人は楓の家の前にたどり着いた。

『じゃあな、楓』

『うん…』

楓と敬大は手を振り別れて行った。

そして敬大は帰り道に、ふと昔住んでいた家の前にやってきた。

家のドアには“空き家”という紙が貼られていた。

『母さん…どうしてあなたは俺の帰りを待っててくれなかったんだよ…』

敬大は明かりのない古い家をじっと見つめた。

そして敬大はアパートへと静かに帰ったのだった。
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