ミュージック・ラブ3〜愛を奏でるメイフラワー〜
そしてジュースを持って敬大は公園に戻った。

しかし、そこにはギターがあるだけで祥乃の姿はなかった。

『あれ?祥乃どこ行ったんだよ…』

敬大は噴水の石段に腰を下ろした。

そして缶ジュースを飲んだ。

『祥乃の奴…帰ったのかな…』

敬大がふと祥乃の座っていたベンチの下に目をやると、祥乃の鞄が置き去りにしてあった。

『あ、鞄忘れたのかな?』

敬大が鞄に手を伸ばすと、鞄の中で携帯が鳴り響いた。

敬大は、忘れ物をした祥乃が自分の携帯に電話したんだと思い、鞄の中を開け携帯電話に出た。

『あ、祥乃。鞄忘れて帰ってるぞ…』

敬大の耳に飛び込んで来た声は、祥乃の声ではなく男の声だった。

『あの、すみません。俺は祥乃の友達の敬大です。どちら様ですか?』

敬大は電話の向こうの相手に尋ねた。

『祥乃の兄のリョータです…祥乃は?』

電話の相手は祥乃の兄からだった。


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