強引な君と甘い恋
その目は鋭く、男二人はすぐに手を離した。
「くっそ…!」
長身の男は腹を抱えながら立ち上がると
二人を連れその場から走って逃げていった。
…はぁ、良かった。
もう少しで気絶するとこだった。
力が抜けたあたしはその場にしゃがみ込んだ。
「ったく、気持ちよく寝てたのに。……ん?って、大丈夫?」
しゃがみ込んだあたしに気付いた男の子は、こっちに駆け寄ってきた。
あたしに手を差しのべる彼は、さっきまで木の幹に寄りかかっていた男の子だ。
さっきは遠くからでよく見えなかったけど、見上げたあたしは驚いた。
ふわふわとした栗色の髪の毛。
髪を片耳にだけかけ、その耳にはピアスが付いている。
大きな瞳は芸能人、いや、それ以上の美貌の持ち主。
きっと、女の子たちならキャアキャアと騒ぐんだろうけど。
……無理。
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