強引な君と甘い恋



あたしはその場から一歩も動かず、声だけを発した。


男の子は眉をひそめて、あたしとお弁当を交互に見ている。



「…取りにくれば?」



「えっと…取りに行くので、それを下において十歩下がってください」



男の子は首を傾げながらもあたしの言う通りにお弁当を下に置くと、後ろに下がった。



それを確認したあたしは走ってその場まで行くと


お弁当を持ち上げ後ろを向いて走った。




数メートル走ったところで立ち止まり、後ろを振り向いた。



…あ。見てる。



男の子は、じっとあたしを見ていた。



お礼だけはきちんとしないとダメだよね。



「あの!た、助けてくれてありがとうございました」



そしてペコッと頭を下げてから、返事も聞かず逃げるように走った。





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