強引な君と甘い恋
「あんたね!裏庭に入って来た侵入者は!」
お茶を飲んで静かにしていたあやめが、今の話を聞いて勢いよく立ち上がった。
人差し指を突き付けながら竜という人を睨んでる。
「へ?侵入者…?俺が?」
男の子は目を見開いて自分を指差している。
あ、あやめ…すごい睨みだよ。
怒るあやめに、あたしはおろおろとしている。
「そうよ!裏庭は出入り禁止のはずよ。なのに勝手に入って…!」
「あやめ!」
今にも殴りかかりそうだったあやめを、彰が抑えた。
殴りはしなかったけど、あやめはまだ物凄く睨んでいる。
「あのねぇ、あそこに入っている奴なんかたくさんいるよ?」
彼はため息をつきながら言うと、靴を脱いで窓から入って来た。
「…!で、でも!あたし、今まで男の子と会わなかったもん」
近付いてくる彼から逃げるように、あたしは立ち上がり後ずさった。
最後の方は声が小さくなってしまった。
「それは君が運良く会わなかっただけだ。放課後以外でも行ってる奴はいるんだよ?」
ふわっと微笑みながら言う。
ソファまで来ると足を止め、あたしが座っていた場所に座った。
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