強引な君と甘い恋
あたしは彰のところまで逃げると彰の後ろに回り、後ろから顔を覗かせた。
…げっ!まだ見てる。
竜という人はジッとあたしを見ている。
目が合った瞬間、あたしは彰の後ろに隠れた。
「…あの時言ってた¨あきら¨ってその彰のこと?」
へっ?
突然言ったことに、またあたしは彰の後ろから顔を出した。
「…あの時?」
一体いつのことだろう?
あたし、彼の前で彰の話をした覚えはないんだけど。
「男たちに手を掴まれた時にさ、『助けて、彰』って言ったじゃん。それってその彰のこと?」
…あ!あたしが腕を掴まれたときか。
確かに、言った。
思い出したあたしは、指差された彰を見て頷いた。
「なぁんだ。男かと思った」
そう言ってふわっと笑った彼は、目の前にあるお茶を飲んだ。
…って、それあたしのッ!
「ぅ゙っ…」
「竜、それは美春のお茶よ。勝手に飲まないで」
あたしを見た彰がビシッと言った。
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