強引な君と甘い恋
「…ゃ…だ…」
また敵と思った瞬間、男の子への恐怖感が沸き上がってきた。
あたしは小さな声で抵抗した。
「美春…?」
御堂くんは俯いたあたしに驚きながら、近付いてくる。
…あの頃を思い出す。
あたしが男の子を苦手になった原因であるあの人とその出来事を。
「みは…」
「…っ」
あたしは御堂くんの声を遮り、素早くお弁当を片付けた。
手が、体が震えてる。
早く、早くここから離れなきゃ。
…あたしの意識が飛ぶ前に。
「お願いだから、もうあたしに関わらないで下さい…」
あたしは勢いよく立ち上がり、お弁当を抱え込みながら震える声を抑えて言った。
やっぱり御堂くんは苦手だ。
「え…?ちょっ、美春!」
御堂くんが立ち上がろうとする前に、あたしはその場から走り去った。
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