強引な君と甘い恋
その言葉にえっ、と小さい声を出して目を見開いたまま固まる。
「竜がねぇ、楽しそうに美春ちゃんの話してたの。可愛いって言ってたから直ぐに分かっちゃった」
首をこてんと傾けながら話す蓮くんの横であやめは眉を顰めている。
真冬ちゃんと彰は無言のまま。
御堂くんが蓮くんにあたしの話をしたんだ。
御堂くん…
名前を聞いただけで今日の昼のことを思い出し、また体が震えそうになる。
…だめ。涙が出そう。
「美春!〜っ、このバカ蓮!お前のせいだ」
蓮くんにビシッと指差し、あやめが慌てた様子であたしのところに来る。
周りを見ると、みんなまで驚いた様子だ。
「美春」
彰に名前を呼ばれ、同時に頬を撫でられた。
それで気付いた。
…あたし泣いてる。
涙がすーっと頬に流れ、それを彰が拭う。
「あ、美春ちゃん。ごめん僕、何かまずいこと言った…?」
「このっ、お前はもう黙れ!」
…違う!蓮くんは悪くないの。
あたしが勝手に泣いてるだけだから。
悪いのは あたし
まだ怯えているあたしの心なの。
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